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人生50% 「akuma」 |
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アルベルトがその村を訪れたのは秋の終焉と冬の到来を冷たい北風やひらひらと舞い落ちる色のない枯れ葉たちが運んでくるころの事であった。
旅の途中で偶然立ち寄ったその村に不自然な違和感を感じるまで二日間を費やした。というのもアルマの首都ロイへと続く大きな森林に囲まれたその小さな村は一見すれば寂れてはいたものの、こんな辺境に華やかさを求めるのも無理な話で、一つの点を除いてはごく自然な村であった。 アルベルトがまだ日の高いうちに到着した最初の日。村の人々はここに訪れる旅人など何年ぶりだろうと口々にもらし、アルベルトは非常に良い、というか予期せぬ歓迎を受け、非常の良い待遇を受けた。小さい子供などは初めて見る外国の人の旅の話や国の話に興味津々で、大の大人までが彼のために用意した臨時の小さな旅館小屋に押しかけてアルベルトの話を聞きたがった。 アルベルトは日が暮れて早めの夕食を済ませ、女中の役を引き受けてくれた老婆エルマにこう尋ねた。 「どうして彼らはあんなに明るく元気なのに、皆日暮れと見るや急に帰ってしまったんだ?日が暮れても一向に酒場で盛り上がる笑い声も女の歌も子供のやんちゃな声も聞こえない。この村では日が暮れればみな寝てしまうのかい?」 その証拠にすでにアルベルトの借りたこの小屋も窓を閉めるのはおろかドアの鍵にいたるまでそれは厳重にかけられていた。 だがアルベルトも旅路で疲れてしまっており、さほど違和感を受けぬままその日はまだ夜でもかなり明るいうちに寝ることにした。 翌朝は皆朝から動きだすのか、と思っていたが、朝日の気持ちのいいその日にも関わらず外には農作業をしている夫婦しかいなかった。アルベルトは外へ出て、夫婦に問いてみることにした。 「あなたがたはこうしてせっせと仕事に励んでいらっしゃるが、他の方々は一体何をしているんですか?昨日見た感じですが、とても皆夜更かしをしていたようには見えません。」 すると見るからにおおらかな大きな農夫が、 「あれはぁ、akumaが来ているんだぁ。俺達はまだ見たことがないからこうして朝から仕事ができる。いいか。問題は夜なんだ!いや・・・よそう旅の人。どうぞ今のうちにここらの景色やなんかを堪能してくれい。昼も過ぎれば皆顔を出すから。といっても昨日のような時間までだが・・・。」 akuma。何だ?悪魔が来ている?さっぱり分からない。 アルベルトはその日の日暮れ時、思い切ってまた話を聞きに来た一番賢そうなクルのサイモンに聞いてみた。 「なぜこの村では夜になると全ての家が静かなんだい。いや、静かどころか、窓やドアまで完全に閉鎖してしまう。一体なぜ?」 アルベルトはできるだけ柔らかく問いたが、サイモンは急に真剣な顔になって、 akuma...akumaのせいなんだ。いや。やめよう。奴はどこで聞いてるか分からない。もうずっと昔から。ずっと前からこの村はこうなのさ。噂話などすればakumaが来る、酔って喧嘩をすればakumaがくる。俺達はakumaにずっと縛られているんだよ。 そういってサイモン以下村の人々は、少しの沈黙のあと、 「じゃあ、時間だ。」 そう言ってアルベルトの小屋を出ていった。 アルベルトは村の秘密をいきなり問いただしてしまった浅はかさにいささか後悔したが、反面、ある決意が、それはほとんど甘美的な誘惑が彼をけしかけた。その夜。 村はシンと静まり、まるで死んでしまったように見えたのは小屋の古さのせいもあるのだろう。 エルマも寝ている。アルベルトは意味なく狩りのためのナイフを腰に忍ばせ、静寂の、この崩れそうな沈黙の村の外へと出て行った。とたんに、彼はあまりの感動と恐怖と色々な感情が交じり合って、どうしていいかも分からずひざまずいた。 「か・・・神よ・・・・!!!!」 そこには、アルベルトが長年探し続けた永遠の存在「神」がいるのである。 「どうか・・・どうかお話を・・・!!!」 「お前」 突然の神の言葉にアルベルトはビクリと反応した。 「お前には「求める」などという汚らわしい思いがある。そうして村の禁を破り外に出てきたのであろう。」 「お前もここで生涯懺悔するがいい。毎晩快楽は真なる恋愛以外は許さぬ。日が暮れれば、ひたすら私のために祈り罪を告白するがいい。よいな。そして朝日はもっとも美しき光。私の罰が解けるまでそれを浴びてはならん。」 「もし全て許されれば・・・?」 「その時は自然と己がどう行動するか分かろう。邪な人間よ。」 次の瞬間には神の姿は確認できなかった。それ以来、アルベルトはこの村で、他の、神にあっていない日々を堅実に過ごす農夫婦以外の人達のように、毎日が淡々に過ぎていく。もう懺悔するものも、罪も償っただろう。 そう思うたびサイモンは言うのだ。 「許されたい、と思ったな。なんて恥知らずな欲求だろう。」 |
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