フェルマー
「ガメラプロジェクト」





「困った。」研究所の所長は腕組をしながら左右に首を振った。

 「どうしたんです?」研究員の斎藤は真剣な面持ちで尋ねた。

 「ガメラや。」

 「はぁ?」

 「ほんまに困ったぞ。」

 「はぁ、ガメラがなんかしよりましたか?」

 「そんなんやったら気が楽や。火や火。」

 「はぁ、火がどないしましたん?」

 「ちゃうがな、ガメラが火吹かんようになったんや。」

 「はぁ、それがなんぞ困りまっか?」

 「か〜〜、お前が羨ましいわ! もし地底人とか怪獣が襲てきたらどないすんねん?これはある意味、国家安全保障に関わる重要案件や。そや、早速内閣と関係省庁にかけあってくるわ。あーいそがしいそがし。」

 バタンとドアを閉めて所長は出ていった。



 「よっしゃ、斎藤喜べ!国家レベルのプロジェクトとしてガメラに火吹かすことが決定したぞ。」研究所のドアをあけるやいなや所長は矢継ぎ早にまくしたてた。

 「はい!所長頑張ります。」

 「うむ、この研究所一丸となってふたりで成功させよう!ってふたりしかいないがな。」と所長は豪気に言った。

 「ではまずなにから?」

 「フッフッフッ、すでに手は打ってある。食料だ!ガメラの食事にある特殊な火を吹く成分をふくんでいる薬品を混ぜるのだ。で、それをガメラに与える。すると火を吹く。」

 「す、すごいっすねぇ〜。さすが所長!僕もう一生付いて行きます♪」

 「ははは、まぁまぁまぁ。」



 ガメラ生息の地、ここ琵琶湖では今や国家レベルのプロジェクトとして大変な騒ぎである。新幹線の駅などどうでもよいのだ。

 そしてガメラの食料である干し海老や干し魚などが大型トラックでどんどん湖畔に運び込まれた。

 山のように積み上げられた食料を前にして研究員の斎藤は所長を待っていた。その混ぜる薬品は所長が持参してくるはずだからこのままではプロジェクトは進行しないのだ。

 「いや〜、すまんすまん。さぁ、はじめるか。」と所長は白衣のボタンを留めながらやってきた。

 「遅いので心配しましたよ。薬品の製造に失敗したのかと。」

 「ははは、すこし雄琴に寄っててね。いや〜良い子だった。」所長は感慨深げであった。

 「あっ、いいなぁ、ぼくだけ仲間はずれだ。」斎藤は少しむくれた。

 「ははは、このプロジェクトが成功した暁には、ていうか成功は見えているが、連れて行ってやるよ。」

 「やった〜〜」斎藤は股間を押さえて前かがみになりながら大喜びした。

 「さぁ、ガメラに火を吹かすか〜」

 「はい。」

 「斎藤。スパイがいるだろうから、周りにはだれも近づけるな。」所長は神妙な面持ちで命令した。

 感化された斎藤も「おまかせください。」と神妙な面持ちで答える。



 ついに所長は山のように積まれたガメラの食材のところにいき何やら液体をたっぷりふりかけた。「よし、これで準備オッケイ。あとはガメラが食べると・・・火を吹くっと。」



 さぁ、ガメラが水中からのそのそやってきてその食事を食べ出した。


 はたして火は吹くのか???


 おっ、ガメラが首を60度上にあげ、大きく口を開いた!


 ついについに・・・・


 するとガメラは


 「カッラ〜〜〜、辛い辛い辛い、きっつ〜〜」


 と大声で叫びながら琵琶湖に飛び込んだ。



 斎藤がおずおずと所長に言った。「火。吹きませんでしたね。」消え入るような声だ。

 「おかしいなぁ〜〜〜。」

 「薬品の調合の失敗ですか?」出きるだけ斎藤は所長を落ちこまさないように、平静を装って尋ねた。

 「うんにゃ、それはない。だって既製品だもん。」

 「なにを混ぜたんですか?」

 「タバスコ」所長は胸を張って言った。

 続けて所長は「だって、ほらよくあるやん。漫画で辛いもの食べたら口から火を吹くやつ。それを応用したんだがなぁ。」




 一方、琵琶湖の湖底でのガメラ

 もう、むちゃくちゃしよるな。辛いのなんの。これうんこしたらお尻の穴いたいやろな。難儀やな〜〜。火ぐらいいつでも吹いたるやんけ。頼みにこいよな。ほんまにもう〜〜


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