ペコ
「計りウサギ」

家に計りウサギがやってきた。
全身真っ白の、普通のウサギより一回りほど大きいウサギだ。
計りウサギはその名の通り、どんなものの時間でも計りたがる。こいつに目をつけられたら最後、どこに行くにも追い掛けられ、どんな行動でも秒数を計られてしまう。
玄関でしばらく見詰め合ったのち、ウサギは僕の横を素通りして、部屋に居座った。鼻をぴくぴく動かしながら、うつろな目でこっちをじっと見ている。
計りウサギはそれ以来、早速僕を付け回し、僕が食事をしたり、友達に電話したりしていると目ざとく側にやって来て、顎のしたの毛がふわふわしたところからさっと懐中時計をとりだし、じっと秒針を見つめる。長い耳をぴたりと時計につけ、秒針が時を刻む音にうっとり聴き入っている。そして、僕が用事を済ませると同時に、誇らし気に時計の秒数を見せてくる。   
はっきり言ってとてもうっとうしい。
さらにはトイレにはいってオシッコをしようとしていたら、扉の隙間から強引に入り込んできて、オシッコの長さを計っていった。
あとで「ねえ、それ趣味なの?どうにもならない?」と聞いたら、小さくコクンとうなずいた。
まあ、趣味なら仕方ないか、と僕は思った。

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