ねぎとろわさび
「I love me.」

どうして友達ができないんだろう?
どうして彼女ができないんだろう?
答えは簡単。
こんなネクラで気持ち悪い人間を好きになるヤツなんていないからだ。


夜中の1時、
いつものように下らない一日が終わり、
俺はベッドの中でいつもと違う夢を観た。

まるで鏡を見ているように、俺の目の前に俺がいる。
ネクラで気持ち悪いいつもの俺が立っている。
しかも、猫背で何だかおどおどしてやがる。
ヤツを見ていて、俺は無性にムカムカしてきた。
「お前のせいで!!」俺はヤツを殴る。
「何でお前はそうなんだ?」俺はヤツを蹴り上げる。
だけども、ヤツは抵抗しない。
「なんて不甲斐ないんだ!むかつくんだよ!!」
俺は馬乗りになりヤツの顔面を殴り続ける。

殴った分だけ心が楽になるような気がしたから、
俺は俺の顔を我を忘れて殴り続けた。

それ以来、毎夜同じ夢を観る。
そのたびに、ヤツに罵りの言葉を投げつけ、ヤツをボコボコにする。
いつしか俺は、その夢を楽しむようになった。


夜中の1時、
いつものように下らない一日が終わり、
俺はベッドの中でいつもと同じ夢を観る。

いつものように俺はヤツをボコボコにする。
「そろそろ目覚める頃か?」
俺は殴るのに飽きて、手を休める。
ヤツの顔は血だらけだ。
「どれどれ、どのくらい痛めつけてやったかな?」
俺はヤツの顔を覗き込んだ。
「・・・!」
俺は息を呑んだ。
そこにあったのは、誰よりも優しく俺を見つめるヤツの眼差し。

夢から覚めたとき、俺は泣いていた。
そして、ベッドの中でも泣き続けた。
「ヤツに謝らなきゃ!ヤツに感謝の気持ちを伝えないと!」
 ・
 ・
 ・
あれから1ヶ月。結局、ヤツは俺の前に現れない。
だけどこの前、気づいたんだ。
よく考えたらヤツは俺自身。
とりあえず、俺に謝っておこう。俺自身に感謝の気持ちを持っておこうって。
そしたら、きっとヤツにも伝わる。


どうして友達ができないんだろう?
どうして彼女ができないんだろう?
答えは簡単。
自分を愛せないヤツに他人を愛するなんてできる訳がなかったからだ。

だけど、もし俺にもあんな「優しい眼差し」ができるのなら・・・
これからいくらでも友達や彼女を作るチャンスはあるはずだよね。

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