Pochi
「時効」




ノーリッジ警察が発表した。
1980年に起きた150億円現金強奪殺人事件の犯人は今年1月20日に逮捕される。

1月20日朝フォカスの納屋を物見高い人々とマスコミが取巻いた。
フォカスが納屋から出て来た。
警部が歩み寄った。
「お帰りなさい。フォカス君」
「お出迎えありがとうございます。警部殿」
「気分はどうかね」
「はい、上々ですよ」

フォカスは自宅納屋の地下シェルターに潜伏していた。
フタル混合という独自の方法で電気や水や食料を作り、エアロマシンで健康維持に努めた。
それもこれも南海のリゾート地で贅沢な余生を過ごす為だった。

地上に出た晩は、スーツを仕立てクラブに繰り出す。
気に入ったホステスを誘って古城が見える近い静かなレストランでディナーを満喫する。
あとは成り行き任せ。
金は一生使い切れないほどある。
いい女を見つけて、一緒に暮らす。
孤島を買い取ってもいい。
ドーベルマンを飼おう。彼女が気に入ってくれればの話だが。
もう焦る必要はないが、早くこの地から離れたい。
とにかく望みはこれだけだ。

「フォカス君、君を逮捕する」
「警部殿、残念ながらきょうから私は自由の身だ」
「残念ながら時効成立は20ヶ月先なのだよ」

数年前から電波時計が進むように細工されていたのだ。
「そんなことができるのか」



<戻る(携帯不可)
<総合索引
mixiへ(携帯不可)>