たう
「こるり第三話」


「スーパーマーケットで44マグナムを発砲しようとした罰として、こるり、お前は二週間外出権剥奪だ」

「分かりました。深く反省致します」

「しばらくは私の作るまずい御飯を食べることになるよ」

「料理権も剥奪なのですか?」

「食材を買うのは私だからね」

「御主人様のいけず」

 という会話をして、私は早速食材を買うために外出した。44マグナムを発砲しようとしたスーパーマーケットにはしばらく顔を出さない方がいいだろう。少し遠くなるが、ショッピングモールで買い物をすることにした。食材を買う前に書店で書物を見繕う。『マリファナ・ナウ―意識を変える草についての意識を変える』『マリファナ・ハイ―意識を変えるモノについての意識を変える 』という書物を購入した。

 その後食材を買った。今日は無難にスパゲッティにしよう。そうして駐車場まで出ようとして、出口付近でモヒカン頭の革ジャンを着た若者たちの足に私の買い物袋が当たり、卵が一つ潰れてしまった。その若者たちは私に言った。

「あんだコラ? ぶつかったんだから謝れよ」

「それは申し訳ない。しかし君たちも出口でたむろしていると買い物袋がまた当たるかもしれない。もう少し離れた方がいい」

「説教する気かよ、おっさん」

「私はおっさんという名前ではないし、そういう仇名を付けられた過去もない」

「頭おかしいんじゃねえのかオイ」

 革ジャンたちが私に対して間合いを詰めてきている。私は静かに荷物を置き、頭を下げながら掌底をどのタイミングで一番前にいる革ジャン男に食らわせるか、隙を狙っていた。

 と、その時。パン、と破裂音が響いた。私の胸に何かが直撃した。服を見ると穴が開いている。もう一つ破裂音。さっきよりも近いのか身体がショックで後ろに引かれてしまう。革ジャンたちが動揺し始めた。

「な、なんだよ!?」

「君たち、ここは早く逃げなさい。敵は私だけを狙っているようだが、誤射する可能性がないとも限らない。君たちはまだ若い。ここで命を散らせるのは無念だろう。私のことは構わないから、早く逃げなさい」

 革ジャンたちが逃げる。その後ろ姿を見てから、改めて銃弾が飛んできた方向に目をやった。そして言った。

「こるり、お前だね」

 その言葉通りに、こるりは満面の笑顔を浮かべて姿を現した。

「御主人様が御無事で大変良かったです」

 私は心臓に当てていた英和辞典を取り出した。銃弾はこの英和辞典に食い込んでおり、私の身には傷はついていない。距離にもよるが22口径の拳銃で撃たれても英和辞典は貫通しない。このサヴァイヴァル方法は寺門ジモンから学んだ。

「撃ったのはお前だね」

「はい。御主人様の危機を救うのもメイドの仕事でございます」

「窮地を救ってくれた御礼を言わなくてはならないね。ありがとう」

「どういたしまして。御主人様に誉められて本望でございます」



 こるりの外出権剥奪期間は四週間に延長された。

「御主人様のいけず」

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