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おかめ 「メリー・クリスマス」 |
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ルカによる福音書 2章14節
「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」 クリスマスだ。 イルミネーションがひときわ輝きを増し、足早に駅へと急ぐ人の影が今夜は一段と目に付くように感じた。 通りかかったコンビニでは、入り口でジョン・レノンの『ハッピー・クリスマス』を流していた。 神を信じている人もそうでない人も、みんな、ほんの少しだけいつもと違う何かを感じる夜。 平和を求めて世界に目を向けてみると、平和とは正反対のものばかりが目に付く。 パレスチナの抗争は未だ続いている。 イラク戦争が残した爪あとに倒れる人が数え切れないほどいる。 ペルーでは、暴動を起こす市民に警察官が催涙弾で対抗している。 北朝鮮は核実験を本格軌道に乗せた。 大都会であるニューヨークやロンドンでも、帰る家を持たない子どもたちが、次々と路上で凍死している。 日本では親に殺される子があり、子に殺される親がある。 傷つけられたことに苦しむ人がいる。 傷つけてしまったことに苦しむ人がいる。 自分の弱さや醜さを受け入れられない人たちが、一日に数百人、年に何万人という単位で自らこの世を後にしている。 街を彩る賛美歌は、本当は嬰児の誕生への賛美などではなく、何千年と続く祈りの姿なのかもしれない、と思う。 主と名づけられ、イエス・キリストによって肉体を得た、平和への祈り。 街路樹の下で身を寄せ合う恋人がいる。 肩を組んで歌を歌う友人たちがいる。 9・11の跡地である『グラウンド・ゼロ』では、新しいビルの建設が始まった。 銃を片手に聖夜の祝福をつぶやく少年兵がいる。 本当の平和などどこにもないこの世界の中で、いま、いったいどれほどの人が平和の姿を探しているのだろう。 人は不完全だから補い合う必要があるのではなく、補い合うために、わざわざ不完全に生まれてくるものなのかもしれない。 かもしれない、そうであってほしいと願うから、僕も今、何千年と続く祈りの鎖をまたひとつ編みつないでみたいと思うのだ。 赤いキャンドルが優しく静かに揺らめいている。 かじかむ指先を光りにかざして、僕は目を閉じる。 正しい祈祷など知らないから、この言葉を祈りに代えて。 メリー・クリスマス! |
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