クワズイモ
「昔の明日の話」

むかし、むかしの明日の話。

私は水深1000メートルの山の頂上に向かって下山した。

あなたは私に小さな声で叫んだ。

私は目を閉じながらあなたをみつめ、大きな声で呟いた。

「あなたの声は、大きすぎて聞こえない。」

あなたは前へ前へと後退するから、私は後ろへ後ろへと前進する。

私たちの距離は近づけば近づくほど遠くなり、体温は高く下降した。

赤い青空には、黒い白雲がながれる。

あなたは被害を受けた加害者のように、俯きながら見上げた。

「お前の声は、小さすぎて煩いよ。」

しょうがないから私は「解った」と否定し、上限を知らない曇り空を見下ろした。

二人の間に、煩いほどの沈黙が流れる。

「それでも、」

私は微動だにせず振り返る。

「お前の事を憎むほどに愛しているよ。」

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