にくみそ
「ぬいぐるみ化」

太ももを十字に切り裂いてみた。
痛みはあったが血はでなかった。
代わりにサイコロステーキ大のスポンジがぽろぽろこぼれ落ちてきた。
ひととおり出尽くすと、足がひとまわりスリムになった様に感じられた。

切り口から中を覗くと
土台になっているであろう別のスポンジ質が見えた。
指でつまんでむしりとってみた。さすがに痛い。
でもその痛みがなんともココチヨイ…やめられない。
どんどんどんどんむしりとっていくと
気の抜けたバルーンの様に足の質感がほとんどなくなってしまった。

同じ要領でもう片方の足も…。

雨の日店頭に使い捨てられたかさ袋の様になった両足を
ペシャペシャ床に叩きつけて僕はRHYTHMを刻んだ。
どういう理由か、絶望感よりも純粋に音を楽しんでいる自分がいた。

同じ要領で、腕、胴体、頭と内部をむしりとっていった。

スポンジじゃなくてあんこだったら美味しく頂けたのに…クックック
等と渇いた笑いを噛みしめながら。

結局のところ僕は一枚の皮になった。でも生きている。

釣り上げられ地表でバタつく魚の様に全身でピシャピシャ跳ねている。
規則的に繰り返されるうねりの中、少しづつ宙に浮く僕の体。

ついには強風にあおられ、外に飛び出した。

昔話で聞いたハゴロモの様に宙を飛んでいる人達は、この季節結構いるもんだ。

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